今日も地球の名物、酸素がおいしいです

プップクプーのプーです 地球には何十年か前に来ました

Sunny Day Sunday

39度のとろけそうな日

炎天下の夢 Play Ball Play Game

せーので走りだす デートならデーゲーム 遊びたい年頃なんてわけじゃないけど

 

 

この曲を聴いています。

最近はよく高校時代のことを頭に思い浮かべます。私は、部活をしていた時期はありませんので、日曜日に炎天下でプレイゲームしたことはあまりないですが、よくグラウンドを眺めながら、みんな頑張っているなあすごいなあと思っていました。

 

 

 

高校時代。

すっごく人目を気にしている学生でした。授業中に当てられれば、緊張して声が小さく高くなるので、クラスの所々からクスクス笑われました。休み時間になると図書館に走り、学期末には多読賞として、クオカードを貰いました。

そんな、よく言えばおしとやか、悪く言えば、地味(悪く言えばも何も前者をよく言いすぎただけ)な高校生でした。

 

 

それでも、目立つ子に目をつけられちゃったり、先生にやたら当てられたり、心休まる時間は少なかった記憶があります。成績下位で入学したので、次々と出される課題を日々必死で追いながら、その合間を縫って友人とたくさんの内緒話をしました。

 

 

誰がかっこいいいだの、誰が優しいだの、誰と誰が付き合っているだの、ジャニーズでは誰がいいだの、今となってはそんなに重要な話題とは思えませんが、当時の私たちには最重要かつ最も興味のある話題でした。

 

 

今では信じられませんが、高校生であった私が一番気にしていたのは、いわゆるモテないという状態であったと思います。

 

 

あの、何回も言うことではありませんが。笑、本当にモテませんでした。笑

男女で一緒に登下校する同級生達を本当に憎々しく見ておりました。花火大会とクリスマスの日には、友人達と街に繰り出し、より憎々しく若いカップルを敵視していました。

 

 

 

 

話が変わりますが、私には大好きな男の子がいました。

 

入学式で一目惚れしたのです。当時はまっておりました、週刊少年ジャンプに掲載されていた漫画の、大好きな登場人物にそっくりだと思ったのです。この一目惚れの理由、今考えるといかにもモテなさそうで、苦笑してしまいます。

 

 

長身でスタイルが良く、色が白くて美形、あんまり勉強はできないけど、天然で可愛い、、素敵!と思っていましたが、私以外には、長身でガリガリ、色が白くて顔色が悪く地味で頭が悪い、といった印象だったようです。

しかし、恋は盲目、走り出した恋は止まりません。結論から書くと、卒業するまで三年間この恋は実ることなく続きました。

 

 

 

彼は私の中で完全に神格化され、テレビに映るアイドルたちよりずっとずっと王子様でスーパーアイドル、そして私は友人達の間で完全に笑い者になりましたとさ。

 

 

 

 最初は、どうにかお近づきになれないか、と観察していたのですが(ここで本人に話しかけるなどの行動が取れないあたりが悲しいモテない女子の辛さです)、あることに気づきました。その男の子、男子と女子に対して全く違う態度をとるのです。

 

 

 

なんと、、男子にだけその素敵な笑顔を振りまき、男子にだけ「一緒帰ろうぜ!」と話しかけ、男子にだけ男子にだけ男子にだけ肩を組みボディタッチをするのです。

 

 

一般的にはオーマイガー、まじ最悪、な状態です。

しかし、恋が止まらなくなっていた私には、この状態はデメリットよりもメリットの方が大きかったように思います。

その男の子を手に入れることができないのなら、せめてせめてせめて誰のものにもならないでほしい!!という強い思いがありました。アイドルを応援している皆さん、気持ちが少しだけわかります。私にとって、その男の子は世界に一人だけのスーパーアイドルでした。このあと、その男の子とはアイドル君と表記することにします。

 

 

いつもついている柔らかそうな寝癖、細いのに意外とがっしりしている脚、ペンをあごにツンツンする癖。古風で素敵な変わった名前。

 

先生に当てられても、なかなか正答は言えません。体育の時間にはいつもボールが狙っていない所に飛んで行ってしまいます。いつも友人たちにあまりセンスのないジョークを飛ばし、困った顔をさせていました。

(こんな時私は、アイドル君のつまらないジョークを責めない心優しい友人たちに心の中で最大の感謝をしていました)

 

 

 

一度だけ、話しかけたことがあります。

怖い先生の授業中、アイドル君はなんだかソワソワしていました。たまたま後ろの席だった私は、アイドル君の行動を先生の目を盗んでじっくり観察していて、気づいたのです。

 

あ、アイドル君、課題のプリント忘れてる、、、、、、、

前回の授業で絶対解いてこいって言われたのに!これ解いてなかったら絶対先生は怒るし、解いてないのみならずプリントがないならなんなら授業の間じゅう立たされるかも、、、

 

 

私は、理系科目が苦手だったので、授業で予習プリントが配られた場合、必ず家でコピーして二枚用意するようにしていました。授業のあと、わからなかった所を復習するためです。

 

 

アイドル君はプリントがない、私は二枚ある。アイドル君はプリントがない、私は二枚ある。アイドル君かわいいなあ、また探し物してるよ。忘れ物が多いなあ。いやいやいやいやちょっと待て待て待て待て待て

アイドル君に、プリント、渡せる、渡せる、渡せる、、!!!

 

 

眉毛のつり上がった、顔から怖い先生は刻一刻と私たちの席に近づいています。しかし、相手はスーパーハイパーアイドルです。

こいつおせっかいなんだよって思われないかな。頼まれてもいないのに、迷惑じゃないかな。でも、このままプリントなかったら、怒られちゃうんじゃないか、もう5分くらい探してる。多分家に忘れてきちゃったんだろう。

 

ここで、プリント渡さなかったら、一生後悔する!なんと思われてもいいから渡そう!

 

 

ど緊張しながらど緊張の中にやにやにやにしながら、肩を叩いて言いました。(初めてアイドル君に触りました、最初で最後となりましたが)

 

 

「これ、二枚あるんだ。使って」

 

 

 

アイドル君は振り向かないまま、プリントを探すのをやめ、まるで何もなかったかのようにそのプリントを自分の手元に置きました。

その、答えが書いてある方のプリントを。私が、予習してきた方のプリントを。

 

 

 

私の手元に残ったのは

 

白紙の

 

復習用のプリントでした

 

 

 

恋とはこんなことまでさせるんですね。本当にその先生怖かったんです。でも、アイドル君が怒られるくらいなら、私が立たされようと思いました。

先生の目を盗んで必死で解き直し、ただでさえ薄い気配を消し去り、当てられないよう最大限の努力をして、なんとか授業を乗り切って、チャイムが鳴って一安心。

 

 

まだ、渡した時の緊張が解けません。学級委員による、起立、気をつけ、礼の号令がかかっている間もドキドキドキドキしていました。

そして、礼が終わって着席したその時、

 

 

アイドル君が振り返って、最高の笑顔で、

「プリントありがとう、助かった」と言いました。

本当にCMのように、エフェクトがかかったように見えました。

頷くことも返答もできないまま、アイドル君は友達のところに行ってしまいました。

 

 

初めて女子に見せた笑顔を、私がゲットしました。

 

 

 

39度のとろけそうな日 炎天下の夢 let's go let's game

せーので走りだす 青い胸を弾ませて

焼きつけ 君の目にもっと私の想い

 

 

 

もう、高校を卒業して長い年月が経ちます。

そのあと、私とアイドル君が話すことはありませんでした。

でも、実は、今でもあの笑顔を思い出すと照れてしまう自分がいます。

 

卒業アルバムを見ると、寝癖のついた笑顔のアイドル君はいたって普通の男の子です。

でも、やっぱり照れてしまいます。こんな気持ち、この年齢になっても持ち続けているなんて思いませんでした。当時のような熱烈な感情では、ないにしても。

 

 

あのとき、君の黒いその瞳の中の瞳孔に、虹彩に、うつったことが嬉しかった。私のこと、もう忘れてしまっているだろうけど、君が忘れても、その脳の湖の底に私の驚いた瞳は残っているでしょうか。

気持ち悪くてごめんなさい。

 

 

 

私の人生のアイドル◯◯君。今も男子にだけ神対応なのでしょうか。それとも、もうそうではないのでしょうか。あのあと、空はより青く見えたし、君はもっともっともっとかっこよく見えるようになりました。楽しい3年間をありがとう!

今はもう恋していないけど、思い出の中の君の笑顔は、私を笑顔にさせます。

 

私の笑顔が爽やかなものではなく、ニヤニヤ、といった感じなのが残念ですが。